雨の底
しぶきする雨にライトをにじませて貧民街ゆきバスが混み合う
スラムへの道を拒まれタクシーを降ろされる土砂降りの雨のなか
雨のジープニー乗り場の長い列につくこんなに濡れたら笑いたくなる
ジープニーに乗ればやすらぐ膝の上に見知らぬ小さな子をすわらせて
女らが笑いあう「ここはバクテリア・フローリングだ」ぬかるむ路地で
ここに似た別のスラムでは(海のほうだ)人びとは腎臓を売っているという
雨に蒼くただれる街の底にいる ずぶぬれの少年たちの一群れ
物売りの母の傍ら暮れるまで路上にしゃがんでいる子にも雨
顔ふかくしずめて物乞いしておりし女のようにある日はうずくまる
「未来」2008年8月号
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